議員の後押しは補助金の採択に影響するのか

前の職場で、「私は○○議会議員の○○さんの知り合いで・・」と補助金の申請の際に言われたり、実際にその議員の方から、自分の上司に補助申請の扱いについて問い合わせがあったことがありました。

現在は、あっせん利得罪という罪もありますが、適用範囲が限定的ということもあり、こういった形での議員の方からのお問い合わせや、採択に当たっての配慮をといった話が、担当部局にくることは今もあるでしょう。

ただ、結論から言えば、仮に採択してほしいという打診が議員の方からあったとしても、それを理由として加点したり優先することはないとでしょう。(少なくとも私が関わった事例ではありませんでした。)

以下、その理由を記します。

まず、押さえておかなければならないのは、仮に影響があるとすれば、その申請窓口がどの機関かによって、影響を与えうる議員が違う、ということです。

具体的には、国の機関(経済産業省、出先である経済産業局など多数あります)であれば、国会議員が、都道府県の機関であればその都道府県の議会議員が(例えば、道庁なら道議会議員)、市町村の機関であれば、その市町村の議会議員(例えば、札幌市なら札幌市議会議員)が、それぞれ片や執行機関片や議決機関の関係ということで、直接関わりがある組み合わせではあります。

言い換えると、北海道内のある市町村の議会議員の方が、北海道の補助事業の採否に関して特定の事業者への採択を要請しても、基本的には日々の業務とは直接関係がないので、基本的には、気遣いはしつつも一般的な問い合わせの対応と同様になります。

また立場が一見上に見える、国会議員から道や市町村にこういった話が来ることもありますが、日々の業務と直接関わりがあるわけではないので、基本的にはこちらも気遣いはしつつも一般的な問い合わせの対応の範疇で粛々と対応していました。

ただ、国会議員と接点のある都道府県の議会議員(国会議員の秘書から都道府県の議会議員になった方など)から、その都道府県に相談があれば、業務で関わりがありますので、しかるべき対応はしますが、それでも結論は、粛々と現在定められている補助要綱に基づいて対応するという回答になりました。

もし、自分の所属する行政機関の議決機関の議員から打診があり、行政側から議員の方に説明しても、納得してもらえる回答ができなければ、議員の方が議会の場で必要な質問をして議論して、その議論の結果次第で、来年度以降の予算事業の内容に反映の是非が判断されることになります。

現実にそういう場合は多々あり、具体的には、議会議論で執行機関側として議員の意見を事業に反映させる、という答弁をすれば、そのとおり執行機関は実行します。(本来、政策決定の過程は、住民に選ばれた議会の議論の結果を、執行機関の行う事業に反映させるという流れです)、

ただ、議会議論の場になれば、特定の事業者に支援すべきというような議論は、通常難しいでしょう。

ちなみに、このような議員関係の対応は、私の前の職場では管理職が対応しており、窓口の担当者が直接対応することはありませんでしたし、そのような話が管理職にあっても、事務処理について何らかの配慮をするようにというよう指示されたことは、私はありませんでした。

ただ、仮に、申請窓口の担当者が、審査に不慣れで必要以上に手間取り事務処理が遅れていることを指摘されたりした場合には、速やかに事務処理ができるよう対応をさせていただくでしょう。議員の方からの働きかけが補助金の採否の事務処理で役立つ可能性があるとすれば、このような場合ぐらいだと思います。もっともこれは、申請者御自身から督促されても一緒です。

申請窓口の担当者で経験の浅い方であれば、「私は〇〇議員の知り合いで・・」と言われると、はらはらする人もいるかもしれませんが、多くの場合は、むしろ警戒されてしまい、その後のやりとりにマイナスになることが多いでしょう。

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