困った時の相談先については、次の記事を投稿しました。
○「どこに相談したらいいかわからない!」そんなときはどうしたらいいか
https://bit.ly/2Zt7Mdi
私は一般的には、明確な一部の例外を除いては産業支援機関に相談するのが望ましいと思っています。
その理由は、半官半民でミッションも明確なので、個別の企業支援にも行政に比べて踏み込んで親身に対応してくれるからです。
それなら、他の公的な機関などで、相談できそうな窓口や専門家はどうなのか、ということについて触れておきます。結論から先に言うと、全くだめというわけではないのですが、様々な理由で、一長一短があると感じるからです。
国、都道府県、市町村については、ある一定程度までは対応してくれますが、個別の企業に踏み込んで丁寧に対応することは、企業誘致(工場の新・増設)などの例外を除いてはあまりありません。
その理由は、行政機関である以上、公平性、公益性を常に意識して業務をしているからです。行政機関が個別の企業に支援する、というのは特に都道府県や市町村に居ると他のセクションでは、あまりありません。支援するとすれば、それは何らかの公益的な理由があるからです。例えば、先進的に環境にやさしい取り組みをしているなど、何らかの理由が常にあります。事業者支援に関して言えば、いずれ売上が増え、雇用が増え、税金もより払ってもらえる、というのが行政側としては、理想的なところです(新商品開発などのリスクの高い支援の場合には、なかなかそうならないことも多いですが)。
また、都道府県や市町村の場合は、幅広いのセクションを異動して歩く方もいるので、事業者支援のセクションのスタンスになかなかなじめないため、うまく対応できない場合もあります。
ただ、例外として国の中で、経済産業省とその出先機関である経済産業局があります。ここのミッションは、国の経済と産業の振興にあります。そのためには個別の事業者との踏み込んだつきあいが無くては、ミッションの達成は難しいということで、国の他の省庁やその出先機関とはスタンスが異なります。ただ、それでも行政機関ではあるので、産業支援機関に比べると、一般的には踏み込み方がやや浅くならざるを得ないでしょう(担当者にもよりますが。)
商工会議所や商工会は、地元の事業者の相談対応が本来の役割ですが、一部の都市を除いて、長らく地域のイベント対応などに追われて、本来の経営指導を十分できていない状況が続いていました。最近は国の施策で本来業務である事業者支援に取り組むような流れになっていますが、専門性が高くなると他機関を紹介するということにならざるを得ないことが多いです。
ただ、身近にあって公的な機関ではあるので、最初に相談に行く場所としては悪くはないと思います。ただし、あくまで最初のきっかけづくりで、次のステップがあると思っておいた方がいいように思います。
一方、中小企業診断士などの士業の方は公的な資格を持っており、深い知見を持って事業者の方に適切に助言、指導されている方もたくさんいます。ただ、士業は私も含めてそれで食べていかなければならないので、それ故に基本的には相応の金銭的な負担を求めざるを得ません。人によっては相談をきっかけにより、依頼者の必要としている以上に自身の仕事を増やすように仕掛けてくる方もいます。向き合う事業者の方は、相談などをした際の対価の有無をまめに確認するなどの対応しながら付き合わないと、後て思わぬ請求をされるということもないとは言えません。
産業支援機関に相談するのがいいと言ったのは、事業者支援をするというミッションが明確で、行政では踏み込めない範囲まで親身に対応してもらえることと、士業のように依頼者から報酬をいただいて、収入を得ているということでは基本的にはなく、安心できるからです。(商品の試験業務など、有料のものもありますが、それは予めきちんと説明されたうえで、活用するか否かの判断は事業者の方にしていただくようになっています。)
また、自身の機関ではできないことでも、他機関の支援制度の情報を把握していたり、地域の関係機関(行政機関、商工団体、金融機関等)と密に連携をとっており頼れる存在です。私も長くお付き合いしている職員の方が何人もいますが、事業者支援の観点で力量のある方が多いです。