行政などの公的機関に相談をしたり、各種の支援の申請をする場合、その窓口の担当者とやりとりすることになります。
本来、向き合う担当者が変われば結果が変わる、ということではいけないのですが、現実にはそういう場合が残念ながらあります。
この理由は様々ありますが、少なくとも都道府県や市町村では、企業支援という部門はかなり異質です。掛け声は住民本位とは言っても、実際には決まった法令に基づいて、その範疇でやれることをやっている、というセクションが大半です。これは役人としては当然なことではあります。それで、公益性や客観性を保っていると言えるからです。
そして、多くの場合様々なセクションを回る方が多いので、事業者支援の担当者になると発想を180度変えなければ出来ない方も多いと思います。
私も若い頃は許認可行政の立場で仕事をしていたのですが、縁あって中小企業等の事業者支援に携わり始めた頃は、やりがいを感じつつも、相談対応の仕方や自分なりのものさしをどこにおくか、しばらく迷った記憶があります。
そんな事情もあることに同意してほしいとは言いませんが、あああるんだと、頭の隅にでも置いておいてもらうと、多少邪険に扱われても腹が立ちません。
ただ、相談を受ける者にとって大事なことは、次の2点だと考えています。
(1) 相談者の話をじっくり聞いて、置かれている状況や課題を正しく把握する。
(2) その上で、相談者の現状に最もあったお手伝いをする。
当たり前過ぎるように思えるこれらですが、きちんと出来ている方はそういません。
(1) については往々にして、充分に話を聞かず推測で状況を把握したと思い込んでしまうことがあります。限られた時間の中で対応することも多いので、こういうことも起こりうるのです。
(2) については、例えば、100点の回答をするために何日も検討に要したり、自分以外の適切な機関を紹介すべきなのに、自分なりのでどうにかしようとしてしまい、結局相談者に迷惑をかけてしまう場合です。
シンプルですが、この2点が出来ているかを私も常に業務では念頭においていますが、相談される側でも注意して対応者を観察するほうがいいでしょう。あまりに酷ければ、相談先を変えるなどの対応も必要です。