一般的には、補助金の金額の算定方法として、「補助対象経費×補助率」という形がとられています。例えば、補助対象経費が1千万円で、補助率が2分の1という制度であれば、交付される補助金は、1千万円×2分の1=500万円となります。
ただし、注意しなければならない点が2点あります。
一つは、例えば「補助率2分の1(上限300万円)」というように、1件当たりの補助金の上限額を定めている場合です。この場合、先に挙げた補助対象経費1千万円に当てはめると、補助金の額は300万円となり自己負担の額は700万円となります。
もう一つは、例えば「補助率2分の1『以内』」と定めている場合です。
実は、この定め方は少なくとも、このブログで主に扱っている中小企業者向けの新事業化に要する試作開発経費に対する補助金では一般的です。多くの場合最終的に完了検査の結果補助対象経費と認められれば、その金額に補助率を乗じた金額が交付されています。
ただ稀ではあるのですが、私の経験で、補助金の募集期限までに補助金の総枠を大きく上回る申請があり内容を審査した結果、不採択と判断できるプロジェクトが少なかったために、結局、採択件数を確保するかわりに、補助率を2分の1以内という規定に基づいているから問題ないということで、実質的に4分の1ほどまで下げたという事例がありました。
こんなことをされてしまうと、予定した自己負担額が増える(しかもこの補助金は補助対象経費の額が1件100億円を超えるオーダーだった)ため、プロジェクトの再考をせざるを得ないほどの影響が出てしまいます。
厚生労働省の雇用関係の助成金のように全体の予算枠が十分あるようなものや、認定した計画に基づいて予算要求をする北海道庁の工場の新・増設の経費に対する補助金であれば、「以内」という規定を実際に適用することはほとんどないと思われます。
ただ、全体の予算枠が少ないにも関わらず、応募される案件が多数で、いずれも極めてレベルが高く甲乙つけがたいというような場合には、今後もそのようなことが起きることがあるかもしれません。念のため以前から実施されている補助金であれば、昨年度までの傾向を申請窓口の担当者に聞いておいた方がより確実でしょう。
※この投稿は、自著を加筆修正して掲載しました。