支援制度設計の考え方

支援制度を活用する上で、その制度を作っている側の考え方も少しばかりでも頭に入れておくと、よりスムーズに利用できると思います。

現状としては、経済産業省では、国家的な戦略的プロジェクトに対する支援があります。一方で中小企業庁や道、市町村の支援制度の多くは、地域の中小企業である事業者への支援を中心で、様々な支援制度があります。(例外としては、企業立地(工場の新・増設に対する補助等)に対する助成などがあります。)日頃、私たちが接する可能性がある支援制度は、後者の制度と言えます。

その理由は、概ね次のように説明できます。

資本主義経済を採用している日本にとっては、基本的には経済活動は民間どうしで行うもので、政府などの行政はなるべく介入しない、という考え方があります。

一方、経済発展のために、企業の課題克服を行政が後押しして、それを呼び水に、収益をあげて雇用を増やしてもらうきっかけとし、将来の税収増を目指す、という考え方もあります。

そういうわけで、手取り足取り、どんなことにも支援をするという話にはならないのですが、特に公益的な観点で、行政が後押しすることが望ましい内容を制度にしているのが現状と言えるでしょう。

以前から、企業が新たな事業に取り組む際にリスクが大きいために、そのための研究開発や試作などのために補助金を出したり、技術的な課題に対して助言できる専門家を派遣する制度はありました。

現在もこのような制度はありますが、近年は、生産力の向上など様々な理由で事業実施そのものに活用できる設備導入に対する補助金や助成金のメニューもできています。例えば中小企業庁が制度化しているいわゆる「ものづくり補助金」、「小規模事業者持続化補助金」、「IT導入補助金」などが当たります。

また、都道府県や市町村では、企業誘致を目的として、工場の新・増設などに対する補助金を制度化しているところが多いです。
さらにアンテナショップを東京などの主要都市に開業して、自身の地域の食品などを販売することで、販路拡大を支援している都道府県などもあります。

さらに、高齢化の影響から、経営者の高齢化に伴う廃業が増えているため、国で事業承継に当たって支援をする制度も作っています。

時代とともに、廃止される支援制度と新たにできる支援制度がありますが、全体的に見ると、創業から、経営発展期、事業承継まで、幅広く支援制度ができつつあるように感じます。

ただ、個々の支援制度には要件が厳しく定められていることが多く、誰にでも何にも活用できる、というものではないのは今も昔も変わりません。

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