同様の資本経済を採用している国の中では必ずしも十分な体制とは言えませんが、日本でも一定の要件を満たした不公正な取引方法や下請事業者が不利益を受ける取引に対する規制については、公正取引委員会や中小企業庁の事業である下請かけこみ寺が相談に対応したり、内容次第では法的な規制の手続きに入る場合もあります。
根拠法としては、独占禁止法や下請法があり、これらにより公正な取引が行われているかどうかを判断して必要に応じて処分等を行うことになります。
○独占禁止法の概要(公正取引委員会HP)
https://www.jftc.go.jp/dk/dkgaiyo/gaiyo.html
なお、北海道内の窓口は次のとおりです。いずれも札幌市中心部です。
○公正取引委員会北海道事務所
https://www.jftc.go.jp/regional_office/hokkaido/
○下請かけこみ寺
https://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/ (全体解説)
https://www.hsc.or.jp/consul/subcontract/ (北海道の窓口の紹介)
法令やガイドラインなどで具体的に法的な規制の対象になる場合は、かなり絞られるのですが、様々な事案の相談対応はしていますので、取引でトラブルがあり対応に苦慮した場合には、いずれかに相談してみるのも一案でしょう。
ただし、いずれの法律でもそうなのですが、規制の対象となるかどうかやどう対処したらよいかは、取引する相手方が明確であることが前提となります。
例えば、ある食品加工事業者が、その原材料の供給事業者を探す際に、取引に当たっては、間に信用のある卸売業者を探して挟んでほしいと、原材料の供給事業者に依頼する場合があります。原材料の供給事業者の経営状況や実績が少ないとこういうことを求められる場合はしばしばあります。
しかし、このような場合で、原材料の確保に向けて費用をかけて作業を進める一方で間に入る卸売業者が決まらないうちに、原材料の購入の意向を示していた食品加工事業者から、状況が変わったので先日まで話していた原材料の購入の話はなかったことに、と一方的に言われて、それまでに原材料の供給事業者が予め原材料の確保のために負担した経費はどちらが負担するのかで、トラブルになることがあります。
このような場合製造事業者と原材料の供給事業者の間で具体的な依頼の契約が無かった場合には、取引相手がはっきりしないということで、法的にはどうしようもない、ということになることがあります。
言い方を変えれば、原材料の供給事業者が食品加工事業者からの依頼を受けての動きは、営業行為の一環で契約まで至っていないのでその間に生じた経費は供給事業者負担、ともなります。
様々な取引経験を持っている元請け的な立場の事業者は、いざというときに自身のリスクがないように、予め動く方法をよく承知していることがあるので、一般には下請け側に見える立場にいる方は、必要以上のリスクを一方的に追わないように、日頃から注意することが必要でしょう。