とかく役所に出す書類作成は大変。そのお手伝いをするのが士業

基本的に、法を使って自分を守ったり、自分のやりたいことを実現しようとすれば、自ら法を調べて手続きをする、というのが原則です。

しかし、本来業務が多忙になり、必要な許認可の更新申請や、会計記帳、確定申告、雇用関係の諸手続きなどをいちいち自分で行うのが大変の場合も多いでしょう。例えば創業期でまだあまり仕事がない個人事業主で、人を雇用してないのであれば、そうでもありませんが、事業が幸いにして拡大し、新たに人を雇用したり株式会社等の法人化を図ると、関係の事務はぐんと増えて負担になってきます。

また、事業が大きくなってくると、時にはクレーム対応などで法律的に争わざるを得ない場合も出てくる可能性が高まります。

そういう時には、いわゆる士業という法律、法務の専門家がいますので、相談または代理、代行として対応してもらうという方法があります。
基本的には対応してもらう場合は有償となります。ただ、初回相談を無料としている方や各士業の団体で無料相談会を定期的に行っている場合もありますので(例 弁護士会であれば法テラス 等)、そういったものをまず活用するという方法もあります。

法律、法務の相談や代理、代行をできる士業は次のとおりです。

弁護士
司法書士
行政書士
税理士
社会保険労務士
弁理士
土地家屋調査士
海事代理士

それぞれを簡単に説明すると、次のとおりです。
(1) 弁護士
8つの専門家の中で最も有名な法の専門家でしょう。業務は、 訴訟手続など法律事務全般で、8つの中で最も対象が広いです。 弁護士と言えば、他の士業(一部の例外を除く)ではできない、他の人とのトラブル対応での相談、代行がよく知られる業務でしょう。また、会社が経営破綻して清算しなくてはならない場合にも、破産管財人等に選任されることが多いです。

(2) 司法書士
業務は、登記代理、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類作成、簡易裁判所における民事訴訟の代理業務などです。 法務局に提出する書類は、会社、土地の登記などいろいろとあります。

(3) 行政書士
業務は、官公署に提出する書類の作成、権利義務・事実証明に関する書類の作成などである。大まかにいえば、他の専門家が専業として法律で認められている以外の法に基づく手続きを何でもできる資格であす。
したがって、許認可申請など事業に関わるものから、相続などの住民個人に関わるものまで、幅広く法律に関する情報を持っている人も多いです(分野が広すぎるので、都市部を中心にこの分野を専業でやっています、という人もいますが。)
最近は、相続から派生して、遺言、エンディングノートの作成のお手伝いなどの終活に関わっている方も行っています。

(4) 税理士
業務は、税務代理などであり、書類作成が複雑で大変な催 定申告の書類作成の代行などを行っており、企業の方々の多 くはお世話になっています。

(5)社会保険労務士
業務は、労働社会保険諸法令に基づく申請代理などです。具体的には、その幅は社会保険、労災保険、雇用保険の手続きと広く事業者に関わっています。
最近国の働き方改革の動きもあり、それらを事業者に伝えていく役割も担っています。また、メンタルヘルスなど労働安全衛生に関する助言などにも取り組んでいます。

(6) 弁理士
業務は、特許等に知的財産を保護するために行う登録申請の、特許庁などの機関への手続代理などです。いわゆる機械加工などのものづくり関係の企業の中には自社で新たな技術を見出した場合には、特許でそれを守るために申請手続きを代行してもらっているところがあります。

(7) 土地家屋調査士
業務は、土地、建物の表示登記申請代理です。一般の方々直接会う機会は意外と少ないかもしれませんが、不動産事業者や土地の地主、建物を貸している方々がお世話になっ ている場合が多いです。

(8) 海事代理士
業務は、海事に関する行政機関への申請、届出、登記その 他の手続代理などで、具体的には船舶の登記など、船や海に 関する法的手続きの代理を行っています。別名は「海の行政書士」と言われています。

日常的に事業者がお世話になっている方士業としては、会計記帳や確定申告の代理を行っている税理士や労災保険、雇用保険などの代理を行っている手続き社会保険労務士が多いでしょう。
また、建設業法や飲食店等で食品衛生法など許認可を必要とする事業を行っている方には、行政書士に手続きの代行をお願いしている場合も多いです。

※この記事は、拙著を加筆訂正して投稿しました。

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